2014.1.5 557 『試作と破壊を倦むことなく繰り返し』
・今日もまた。自分の実力のなさを思い知る。そこからだ。
・今日の引用。
【失敗のないところに真の成功はない。現代芸術においてジャコメッティがもっている大きな意味は彼が絶えず失敗するということ、試作と破壊を倦むことなく繰り返し、その作品がいつまでも完成しないということにある。なぜなら完成とは進歩の停止であり、限りなく豊かな現実の歪曲でありどこまでもひろがってゆくべき自由の放棄なのだから。むろん完成しなくてもいいというのではない。失敗すればするほど仕事への熱情は大きくなるのである。別れ際に彼は私に言った。「きみのおかげで私は非常な進歩をした、将来正しい線が出来たらすぐ知らせよう」と。私は胸を躍らせながらその電報を待っている。】 矢内原伊作『ジャコメッティ』 p158