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2013.9.1 431 『深夜にそっと、彼の勇敢な先祖のひとりがそうであったように』

09 02, 2013 | 日記2013

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・付箋。

・小説というものは、たとえば、広大な平原にぽつんと浮かぶ小さな集落から抜け出す少年、のようなものではないでしょうか。

 それがどれほど居心地のいい場所であっても、見晴らしのいい、小高い丘に座って、遥か遠くの地平線のあたりを眺めていると、なんだか、からだの奥底からつき動かされるような衝動にかられる。それは、ここではないどこか、へ行きたいという衝動です。

 やがて、少年は、その集落を、夜中に、ひとりこっそりと出ていきます。そして、新しい集落を、その広大な平原のどこかに作る。だが、やがて時がたつと、また新しい少年がその集落から、深夜にそっと、彼の勇敢な先祖のひとりがそうであったように、抜け出してゆくのです。 

 高橋源一郎『一億三千万人のための小説教室』p16「少し長いまえがき」より。

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