2014.12.12 925 『テレビをつけたら、女性歌手が二十年近く前に自身が作曲したクリスマスソングを歌っていて』

12 13, 2014 | 日記2014

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・テレビをつけたら、女性歌手が二十年近く前に自身が作曲したクリスマスソングを歌っていて、なんというかそのころのまま歌う努力をしているのを感じてげんなりした。歌手に対する一般的な評価として、年月がたっても当時のままの声質、キー、声量を保っている、ということがいいとされるところがあるけれど、そんなのはどうでもいいことだ。「ああ、年取ってこの歌手も声がでなくなったね〜」なんていう人が多い。気持ちが悪い。なんでいちいち当時に戻って歌わなくちゃいけないのだろうか。

 年月がたったのだから、変わって当然だ(同じ歌を歌うにしても)。けれどそれは、声がでなくなったなりに努力することがある、なんて消極的な考えでは全然ない。前に進むということは上に書いたようなことをすることではない。その当時の聴衆を失意させないように現在の自分を当時の自分に寄せて、聴衆から「変わらずいい歌うたうね」なんて、そんな評価を望んでいたら、媚びていたら表現なんてできやしない。

 ああいう歌手の態度と、そういうことをよしとする受け手にほんとうにうんざりする。そういう人達には、ディランやトム・ウェイツの凄さなんてのは少しも理解できないだろう。

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・ラジオで柴崎友香がインタビューゲストとして出演して、柴崎友香が小説家として先輩である高橋源一郎に「長年書きつづけることができる秘訣のようなものは?」というような質問をして、それに対して高橋源一郎は「そんなこと気にしないこと」と答えた。「二十代の頃と同じように書くことは絶対に出来ない(体力的なことも含めて)、けれど、今の自分にしかできないことがあって、それは二十代の頃の自分にはできないことで、今の自分はもっと先に進んでいる(ネクストステージで書くことができる)のだから、気にしないこと」というようなことをいって、柴崎友香も高橋源一郎もお互い笑っていた。

 本当にそういうことだと思う。上に書いた歌手は高橋源一郎がいうような、表現者としての在り方、姿勢を全然理解していない。

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