戯れ言の箇条書き・31 「時代が変わっても変わらない」

05 31, 2012 | 日記.戯れ言2012

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・星のない空に少し削れたお月様があって、と思ったらその左に星が二つほどあって、夜風が気持ちいい。網戸を開けていても、まだ虫が入ってくるような季節ではないから、月見酒にはいい季節。猫が志村けんみたいな声で鳴いているのは発情期だからでしょうか? 去年石巻でもらってきたウイスキー、これは津波で流されたものなのだけれど、割れずに残ってあってそれを作業に入った家の方に譲ってもらってそれを仲間うちでは「復興酒」とよんでいるのだけれど、それを飲みながら音楽を聴いているところ。と書いていたら、遠くから左沢線の電車の音が聞こえてきて、その音が好きだ。

・ソロで曲をやるとどうしても「歌」になるけれど、それを何人かでやると、いろんな作用で「音楽」になったりする。これは説明が難しいし、いろんな作用ってなんだそりゃ? ということになるけれど、何人かでやるおもしろさというのはそういうところにあって、何人かでやったとしても、それがボーカルのサポートしかしないような音の場合はそれはやっぱり「歌」であって、どうせやるならその瞬間、瞬間、本人たちも演奏しながら迷いに迷うような事がやりたい。誰かと一緒にやるならば。

・だからどうしてもライブ録音の方がおもしろいと思えるのはそこに理由があって、各々がどれだけ原曲に忠実に録音したとしても、それがバラバラに録音されたとしたら、その「おもしろさ」は現れてこない。今はそういう別々にとることが主流だからそれがいいと思うひとはそれをやったらいいと思うけれど、マイルスが生きていたらそんなこと絶対にやらないだろう、という当てもない推測。

・と書くうちに月は移動している。二つの星も同じように。これだけの短い文章を書くだけでも明らかに月が移動しているのがわかるような時間がかかるのだから、表現というのはやっぱり時間がかかるということを前提として受け入れていかなければ、何もできないと思う。いかに時間をかけずにに、いかに効率よく、いいものをつくるか、なんて考えの人は絶対に表現する事に向かない。お金儲けには向くのかもしれないけれど。それはどれだけ時代が変わっても変わらない。

戯れ言の箇条書き・30 「裏切っちゃいけないのは多分そっち」

05 30, 2012 | 日記.戯れ言2012

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・自分の動画なんて絶対に見たくないと思っているし、見ないけれど、勢いで「花」を歌った動画を見てしまって、なんだこれは? と思っている。おもろい。自分じゃなく、全部、全体。自分じゃない。けれど、あそこで歌った自分は何かをやっている。歌でもなく、音楽でもなく、「何か」を晒そうとしている。そういうのはおもろい。その「何か」はいつまでたっても言葉にならない。だからライブをやり続けるしかない。

・25日のボーズバーライブの前に河原に行って歌ってきて、二日後に同じ場所に行ったら、草が四倍くらいの大きさに成長していてびっくりした。こういうのをいちいち人間の側に引き寄せて教訓めいた事を言う人がいるけれど、そういうのではなくて、そういう光景を見る事それ自体がおもしろい。本当におもしろい。

・いつもいつもはっとさせられるのは過去にいた自分と接した時だったりして、それを普段は忘れているから前に進んでいるつもりになるけれど、ふとした時に過去の自分に触れたりすると、「あの時のほうがずっと必死だったじゃないか」と思ったりする時もあって、その時の自分に馬鹿にされないようにがんばろうと思えたりする。そういう過去の必死だった自分の分もしっかりと進んでいかなくちゃないけない、とか書くと分裂ぎみになったりするけれど、他人の自分への評価などどうでもよくて、過去の自分を裏切らないような進み方をしよう、と、そういう闘い。本当に裏切っちゃいけないのは多分そっち。

2012.5.30

戯れ言の箇条書き・29 「音楽というのは音ではない」

05 29, 2012 | 日記.戯れ言2012

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・面白さの多様さ。何が面白い事なのかという事を常に自問し続けるということ。表現というのはどうあがいても独りで向き合う事しか出来ない。けれど、録音とかそういう作業になるとこれが本当に面白い事なのかどうか、自分がやっていることが音楽と呼べるのかどうか、不安になる。それで受け入れやすい方向にその表現が向きやすくなる。これをやっていれば皆満足してくれるのではないか、とか。でも、そうやって作られたものはやっぱりつまらない。多数に受け入れられるようなものを作るな、とかそういう単純なことではなく、自分が面白いと思える先人たちは何を重要視してきたのか、とかそういう本質に立ち返って考えること。それだけが重要だと思う。

・旅の歌を歌う。とすれば鳥だって鳴くし、犬だって吠える。人間の日常の営みの声だって聞こえるし、飛行機だって飛ぶ。そういう音を「雑音」としてはじいてしまうような状態でいる時もあったけれど、それらは決して雑音ではなく世界に溢れている音だ。「雑音」などという音はこの世界にはない。と思える状態にあるということは幸せだ。行き詰まるときは大抵そういう事を受け入れられなくなる時であって、そういう時に何をやっても「何も」捉えられない。だから無理に何もしないで河原にでも行った方がいい。

・河原に行くと本当に元気になれる。が、それは気分転換ではない。もっと本質的なものだ。あらゆる動きがそこにある。

・「個性的でありたい」という人は大体が個性的ではないのだけれど、それはそういう人のほとんどが後づけのものに頼っているからで、例えば服装だとかそういうことだけれど、本当の個性というのはそんな事じゃなくてもっと「意志ではどうしようもないもの」「変えようがないもの」とかそういうところにある。

・音楽というのは音ではない。そこに関わる取捨選択とかすべてのことが関わってくるものであって、プロデューサーから「もうワンテイク録ってみる?」と聞かれた時に「同じ曲なんて二度も歌いたくないよ」といったデビュー当時のディランのその考え方も含めて音楽なのであって、音楽というのはそういう「潔さ」だって含むものだから、それは結局音の善し悪しだけでは語れない事になる。が、不思議とそういうものは音にも真っすぐにあらわれる。

・だから、別に不良のほうがいい、というつもりはないけれど、既存の基準でなんやかんや言ってくる人間に対して「そんなもん知るか、馬鹿野郎」と言える人間であることは表現をやっていく上では、それが強がりだとしても大事かもしれない。

2012.5.29

凍った海を砕く斧でなければならない。カフカがオスカー・ポラックに宛てた手紙より。

05 18, 2012 | 日記.戯れ言2012

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要するに、僕たちは、僕たちを咬んだり刺したりする本だけを読むべきだと思う。

もし、読んでいる本が、脳天への一撃のように僕たちを揺すり起こすのでなければ、そもそも何故、わざわざそれを読むのか。君が言ったように、愉快な気分になるためか。

ああ、僕たちは、全く本がなくても、同程度に愉快であろうよ。必要とあらば、自分に向けて、愉快になれるような本を書いてやったらいいんだ。

僕たちが必要とするのは、非常に痛ましい不運のように、僕たちを打ちのめす本だ。自分よりも愛する人が死んだときのように。そう、まるで全く人の気配がない森に放逐されたように感じさせる本だ。自殺のように。

どんな本でも、僕たちの内の凍った海を砕く斧でなければならない。僕はそう信じている。 



(フランツ・カフカがオスカー・ポラックに宛てた手紙より。日付には、1904年1月27日とある。)

戯れ言の箇条書き・28 「死んだミミズのような」

05 12, 2012 | 日記.戯れ言2012

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・誰かがその爪で世界を引っ掻いたその音を聴いて、誰かが振り返ったその先にいた、誰かがピアノを鳴らしたその音で、誰かが踊り始めたが、それを誰も知らない。

・既に形になっているものをそのままの形で録音しようと歌った時に襲いかかってくるアホらしさ。死んだミミズのようなことをやってもそれは全然面白くない。生きた「何か」をそこに閉じ込めようとすることの闘い。

・例えば一年悩んで作り上げたものが、たった一瞬の思いつきのようなものに及ばないこともあって、その一年の悩んだ期間を考えるとそっちを取りたい気持ちにもなったりするけれど、そうやってみても一瞬の思いつきのほうがよければ、「よければ」というのは上手くいった、ということではなく「何か」がそこにある、と感じたらという意味だが、そうであればその一瞬の思いつきのほうを選ばなければならないけれど、その一瞬の思いつきにしたって、一年ずっとそのことを考え続けてきたからこそ生まれてきたのだろうし……。

・サカナくんすごい。好きなことをやって、やり続けて、それだけで食う、って並じゃできない。サカナくんのお母さんはサカナくんが小学生の時に学校の先生に呼ばれて「お宅の息子は魚のことばかりで他のことは――云々」というような事を、子供を社会に馴染ませることが教育だと思っているような「先生」からそういわれた時に「それじゃ皆と一緒じゃないですか。うちの子は魚が好きで、他の事はできないかもしれませんが、それでいいんです。」と突っぱねたらしく、えらいなあと思った。サカナくんは東京海洋大学客員准教授になっている。とか書くと、大学の先生になったからすごいのかとか、そういう小さいこという人がいるけれど、そういう人は放っておいて、とにかく周りから馬鹿にされようがなんだろうが、好きな事をずっとやれたらそれだけですごい。やりたくねえことやってる暇はねえ、って誰かが歌っていたようなこと。

2012.5.12.早朝

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松沢春伸の日記

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